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新宿の川に浮かぶ染物たち

 21, 2019 23:27
新宿区の落合・中井界隈は、昔ながらの路地が入り組んだ閑静な住宅街で、林芙美子や赤塚不二夫などの文化人たちもこの地に居を構えていました。


お洒落な街という感じではないのだけれど、どこか親しみを感じます。「ぺいざん」は、赤塚不二夫が足しげく通ったという洋食屋。


昭和30年代までは多くの染色工場があり、江戸染色の日本三大産地でした。現在ではすっかり数は少なくなりましたが、その技術は受け継がれ、多くの職人や作家たちが集まっています。






この落合・中井地区を、再び染物の街として広く発信するために毎年行われるイベント「染の小道」は2009年から始まり、今年で11回目を迎えました。


かつては染物を川で水洗いする風景があちこちで見られました。その当時の記憶を蘇らせようと行われる「川のギャラリー」


都心を縫うように流れる川に、見渡す限り染物が続いていく風景は、なかなか趣きのあるものでした。

Art à UENO{ル・コルビジェ}

 03, 2019 23:21
国立西洋美術館は、開館60周年記念として『ル・コルビジェ 絵画から建築へーピュリズムの時代』が開催されています。




ユネスコ世界文化遺産登録後、ル・コルビジェの展覧会としては今回が初めて。ル・コルビジェが設計した美術館で、彼自身の作品が観られる滅多とないチャンスです。


展覧会は、まず19世紀ホールから始まります。中央の2本のコンクリート柱は、木目の模様が美しい。建築当時、ル・コルビジェが来日した際にこの柱を見て、日本の職人の技術力の高さに感心したのだそう。奥は2階へと続くスロープ。このホールでは代表的な建築の模型が展示されていました。


ル・コルビジェが1914年に提唱したドミノ・システム(Système Domino)


ル・コルビジェと共にピュリズム(純粋主義)を掲げた画家オザンファンのアトリエ兼住宅も、やはりル・コルビジェの設計によるもの。


スタイン=ド・モンツィ邸

ヴォアザン計画は、ル・コルビジェが構想したパリ改造計画。パリ中心部に幹線道路を通し、18のブロックに超高層ビルを建てるというもの。大規模な改造計画でしたが実現には至りませんでした。この計画がもし実現していたら、パリの街並みは大きく変わっていたに違いありません。


イムーブル=ヴィラ

緩やかなスロープを辿っていくと、視点も滑らかに変化していきます。




2階部分は展覧会の題名が示す通り、今から100年前に若きスイス人、シャルル=エドゥアール・ジャンヌレがパリに渡り、ペンネームである『ル・コルビジェ』として巨匠建築家になるまでのストーリーと作品が展示されてましたが撮影はNG。下の写真は以前訪れたときのものです。


低くて黒い天井と、白く高い天井が印象的。

回廊のように巡りながら作品を鑑賞するというのも、この美術館の楽しみ方のひとつです。


時間が経つのを忘れて観ていたら、いつしか外は薄暗くなっていました。空腹に耐えかね、ミュージアムカフェ「すいれん」で、ランチともディナーともつかない食事。シェフのお勧め、絵画 ポテトのラクレットチーズ焼きは、ジョアン・ミロの「絵画」をイメージしてるのだそう。


食事のあとは常設展を楽しんでいたら、あっという間に夜の8時前。「間もなく閉館」のアナウンスに急かされながら西洋美術館を後にしました。


Art à GINZA{ギンザで、アート}Vol.1

 03, 2019 15:00
関東ではこのところ晴天が続いています。ふらっと銀座でギャラリー巡り。昼下がりの中央通りを一丁目から歩きました。


ポーラ ミュージアム アネックスでは現在「時の花 –イイノナホ展–」が開催されています。




ガラス作家・イイノナホ氏は、武蔵野美術大学彫刻学科卒業後、シアトルのピルチャック・グラススクールで本格的にガラス制作を学んだ後に帰国、作家活動を開始しました。


色とりどりの風船が束になったようなシャンデリアは、その名も「ballons」。ポップでカラフルです。


今回の企画展と同タイトルである「時の花」は、ガラスとステンレスで作られたシャンデリア。ガラス越しの影が柔らかく、どことなく幻想的に映ります。




2013 「Bonbon」

2013 「Kitakita lamp」



2014 「珠を運ぶ女」

ガラスという素材には温もりを感じます。イイノナホ氏が作る作品は、どれも柔らかなカタチと淡い色彩がとても印象的でした。


ポーラミュージアムを後にし、CHANEL ネクサスホールの「INSURA LUX(光の島)」アントニ タウレ展覧会へ。




アントニ タウレ氏は、スペイン・サバデル出身のアーティスト。建築を学びながら画家としての活動を始めました。世界各地の劇場の舞台装飾を手がけ、1983年にはフランスの芸術文化勲章を受章しました。


まるで絵画の中へと続くような不思議な空間。


全ての作品のテーマには、暗い室内に差し込む明るい光という共通点があります。


静寂で美しいこれらの風景のインスピレーションの源になったのは、彼の活動の拠点となっているフォルメンテーラ島の光景なのだそう。




殆ど人影のない静かなギャラリーの中に身を置いていると、いま自分が銀座の真ん中に居る事を忘れてしまいそう。


続いてGINZA SIXで開催されている「Blue - 猪瀬直哉」


本展覧会は、猪瀬氏の原点ともいえる「ブルー」がテーマ。空や海といった現実的な世界もあれば、メランコリックな作品ありました。








帰り道。蔦屋書店でフェラーリのエンジンのカムカバーとエキゾーストパイプを模した奇妙なオブジェクトを発見。なんだろう?と思って見ていたら、担当の方が説明してくれたのだけれど、これはフェラーリの写真集なのだそう。カムカバー風の蓋を開けると、フェラーリの実車と同じ真っ赤な革張りの豪華な書籍が現れました。世界限定250部で、値段はなんと3,750,000円だって…。溜め息と共にGINZA SIXを後にしました。

スポーツの名シーンの花絨毯

 22, 2018 20:59
晴海アイランドトリトンスクエア。略称トリトンスクエアは、銀座から車でおよそ10分の距離にある、身近でちょっとエキゾチックな雰囲気が味わえるショッピングタウンです。






普段は週末でも観光客の姿は無く、近隣住人がちらほら通るくらいですが、この日はいつになく大勢の人たちで賑わっていました。屋台が軒を連ね、中央のステージでは子供たちの踊りに歓声と拍手が上がります。




楽しそうな親子連れ達の間を潜り抜けて館内に入ると、グランドロビーでは『フラワーカーペット晴海2018』が開催されていました。


2001年に第1回目が開催され、今年で18回目を数えるこのイベントには、毎年それぞれのテーマが決められています。今年のテーマはスポーツ。世界で活躍する選手たちの名シーンが無数の花びらで表現されていました。女子重量挙げの三宅宏実選手に、


競泳の荻野公介選手。




これらの巨大なアートは、全て薔薇とカーネーションの花びら、それに黒い部分には砂を敷き詰めて表現されています。大勢のスタッフ達によって、数日間かけて作られたのだそう。


男子ハンマー投げの室伏広治選手と、




女子卓球の平野美宇選手、


スノーボード平野歩夢選手。因みにこのイベントの会期は4日間で、終了と同時にこれらの作品は全て崩されてしまうらしい。4日間限りの儚いアートだけど、とても綺麗。




時間を忘れて見入っているうちに、外はだいぶ陽が傾いてきていました。


穏やかな晴海からの勝どきの眺め。


帰り道。銀座4丁目の交差点を通り過ぎようとすると、日産のショールームでは懐かしい車が目に入ってきました。


1972年の東京モーターショーに出展された「スカイラインGT-Rレーシングコンセプト」。翌1973年に実戦投入されるために作られたレーシングカーのコンセプトですが、その後押し寄せて来る排ガスや燃費向上の問題から結局陽の目を見ずに終わった「幻のGTR」です。


と、その横には見慣れない車。「GT-R50」の文字と、傍らにはイタルデザインのロゴが見えます。イタルデザインは、ジョルジェット・ジウジアーロによって設立されたイタリアのデザイン会社。


そのイタルデザインの担当者にお話しを聞く事が出来ました。このクルマは、GT-Rとイタルデザイン社がちょうど50周年を迎えるにあたって発表された世界限定50台のカスタムメイドモデルなのだそう。「今ならまだオーダー出来ます」という事なので、参考までに値段を聞くと、1億2000万円…。夢のまた夢かな。「Thank you.」の言葉と笑顔に見送られながら、銀座の街を後にしました。

華麗なスーパーリアルの女性たち

 06, 2018 23:40
銀座7丁目、交詢社通りとすずらん通りの交差する角にこじんまりと建つギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)は、好きなギャラリーのひとつ。先日、前を通るといつになく暗くひっそりとしていました。休館かな?と思いつつ入り口のドアを開けてみると、中はネオンが点いた怪しげな空間が…。


いかにもインスタ映えしそうなスペースには、数人の若者がスマホ片手に撮影に興じていました。




何の企画展かと思いながら展示をよく見ると「HARUMI’S SUMMER」のネオンと、見覚えのある懐かしいイラストが並んでいます。


階段を下り地下の展示室へ入ると、そこには懐かしのイラストレーター、山口はるみの作品で埋め尽くされていました。




山口はるみ氏は東京藝術大学を卒業後、西武百貨店宣伝部、ヴィジアルコミュニティセンターを経た後にフリーランスのイラストレーターとなり、1969年にはPARCOのオープンと同時に広告制作に参加されました。「グランバザール」のポスターがとても懐かしい。


スーパーリアルな欧米人風の女性達は「はるみギャルズ」とも呼ばれました。




雑誌「Apache」の表紙。




エアブラシを使用して描かれた作品は、絵というより写真のような雰囲気で、当時は非常に現代的で洗練された印象でした。私も一時期、趣味でいろいろと試してみましたが、0.数ミリという繊細さと全くやり直しの効かない作業に手こずったのをつい先日のように思い出します。


作品を見る事に集中していて暫く気が付かなかったのですが、傍らには山口はるみ氏ご本人がいらっしゃったのはびっくり。清楚な洋服と白いコンバースがとてもお似合いでした。


躊躇いつつも思い切ってお声をかけてみると、私が勝手に想像していたイメージとは異なり、とても気さくでお話し好きな方でした。学生時代の事から制作苦労話まで、いろいろなお話しを伺う事が出来ました。誰からも「はるみさん」の愛称で親しまれるのも頷けます。


興味深いお話しにあっという間に時間が過ぎてしまいます。あまりお引き留めしてもご迷惑なので、そろそろ失礼することにしました。頂いたサインには〝Love and Hug〟のメッセージが…。有り難うございます!

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